東京平版株式会社
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KAGURAZAKA・想い

「神楽坂想い」もリレーを継いで16回目を迎えました。
今回訪ねたのは創業108年を迎える老舗化粧品店「さわや」。花柳界をはじめ神楽坂にご縁のあるお客様の“キレイと元気を後押しする”をモットーに店を継いできた三代目店主・川野眞弓さんに、「さわや」が長い歴史の中で紡いできた商売への想い、そして“神楽坂愛”をお聞きしました。

商売は商い=飽きない、真面目にコツコツと日々を重ねる

1915年(大正4年)、眞弓さんの祖父の尾澤四郎さんが現在の店舗の場所で、主に女性用の和装小物や化粧品、日用品などを扱う小間物屋(こまものや)「さわや」を創業しました。かんざしや櫛などは、神楽坂の芸者さんたちに愛用されたといいます。

1923年、関東大震災で大きな被害を受けた化粧品大手の資生堂は、再建策の一環として、化粧品の値引き競争が過熱する中で小売店、メーカとともに適正な利潤を確保できるよう定価販売を推進する“チェインストア制度”を立ち上げます。「さわや」はいち早くこの制度に着目し、1927年に東京で3号目となる契約を結んだのです。

その後、第二次世界大戦の東京大空襲で神楽坂一帯が焼け野原となり、店はゼロからの再建となりますが、店の基盤は揺らぐことなく、二代目となる母の尾澤二三子さん、三代目眞弓さんへと受け継がれてきました。

100年以上もお店を続けられるのも、創業の頃から変わらず花柳界や神楽坂にご縁がある方々の支えがあってこそ、と話す眞弓さん。ひと頃は、化粧品専門店が神楽坂に4店舗もあり賑わいをみせていましたが、webサイトなどチャネルの変化もあり、専門店としての化粧品販売が厳しい状況となってきました。市ヶ谷、後楽園の地域、直近では江戸川橋の専門店も閉店し、眞弓さんは、リアル店舗の必要性を問われているようにも感じているといいます。一方で、神楽坂近隣の専門店が「さわや」だけになったことで、ご年配の方が30分も歩いて来られたり、遠方から店を探して足を運んでいただくお客様がいらっしゃることにとても有り難さを感じると話します。初代・四郎さんの「“商売は商い=飽きない”、真面目にコツコツと日々を重ねることが大切」という信念を受け継ぎ、さまざまな壁に直面しながらも、使命感をもって正面から商売と向き合う眞弓さんの姿には強さと覚悟が感じられました。

 


 

外見だけでなく内面からの美しさを引き出す

資生堂の“一瞬も一生も美しく”というコーポレートメッセージのように、いつまでも美しくありたいという願いは、年齢を重ねても変わることなく女性が持ち続けているものです。「さわや」では、外見の美しさだけでなく、内面からの美しさを引き出すために、エステを通してお客様の肌に触れ、スキンシップを重ね、コミュニーケーションを図ることに力を注いでいます。それによって肌も心も元気になり美しさが引き出されるという体験価値をお客様に提供するのが大きな狙いです。そしてそれが“お客様のキレイと元気を後押しする”ことにつながると眞弓さんは話します。

ここ数年はコロナ禍の影響で接客のルールも変わり、お客様と向き合うことができないなど、厳しい状況が続きました。しかし、スタッフと話し合い「さわや」独自の接客ルールを策定し、できる限りお客様の要望に応えてきた結果、人と会話する機会が減ったご年配のお客様から大変感謝されたそうです。

 


 

猫の街神楽坂の地域猫活動

 

神楽坂は“猫の街”としても知られています。小さい頃の夢は、獣医や動物に携わる仕事がしたかったというほど、犬猫好きな眞弓さん。以前の神楽坂はノラ猫も多く、動物と共存していた街だったそうです。一方で、住民とのトラブルも増えたことで、15年程前に地域猫活動を発足し、眞弓さんもボランティアとして関わってきました。トラブルの原因となるご飯やトイレの始末、保護猫の飼育などをしながら、地域猫活動に共感した同士で地域猫を見守ってきました。現在の神楽坂は、野良猫の姿はほとんどなく、猫との共存風景は少なくなりましたが、「さわや」の店頭には、猫グッズの棚が設けられていて猫好きの目を引いています。そんなところにも、眞弓さんの地域猫への想いが感じられます。

 

店内は、可愛い猫ちゃんグッズで癒されます

 

 

山手の高級感と下町の良さが化学反応した
神楽坂の魅力

 

神楽坂はちょっと高級で伝統的な「和」のイメージがある一方、日常生活の中で下町文化を感じることができる街です。この山手的な高級感と下町の良さとがいい意味で化学反応を起こし、唯一無比の神楽坂という街の魅力となっていると眞弓さんは言います。

また最近は、路地を入ると知らない店が増えていて、生まれも育ちも神楽坂の眞弓さんでさえ驚くこともしばしば。趣味のランニングで、移り変わりゆく神楽坂の街を体感し、新しい神楽坂の魅力を再発見することが楽しみと笑顔で話していました。

 

 

こうして人や街を想うバトンがまた渡されていきました。次回もどうぞお楽しみに。

 

川野 眞弓さん
オススメの"神楽坂土産"

雪路 バター味

ふんわりとした生地にほんのり塩がきいているバターチーズが挟んでおり、和洋折衷のお菓子としてとっても美味しいです。

さわや

〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-12 さわやビル

TEL:03-3260-6049
URL:https://www.shiseido.co.jp/sw/navi/shopdetail.html?shopCd=211B03

さわや

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