東京平版のBLOG

  1. 東京平版TOP >
  2. 神楽坂想い

KAGURAZAKA・想い

第15回 神楽坂店主リレー取材:神楽坂想い

“料理への心使いをお手伝い”をモットーに和陶器一筋

丸岡陶苑
四代目
岡崎 真一さん

「神楽坂想い」もリレーを継いで15回目を迎えました。
今回お話を伺ったのは、今年で創業131年目を迎える、和陶器を中心に食器を扱う「丸岡陶苑」の四代目店主・岡崎真一さんです。
“料理への心使いをお手伝い”をモットーに店を守る真一さんに、日々の暮らしに馴染む、食卓が華やかになる器の販売への熱意、そして“神楽坂愛”をお聞きしました。

料理の邪魔をせず引き立てるのが食器の役割

当時の火鉢を玄関鉢植えとして再利用

真一さんの曾祖父清太郎さんが神楽坂の地で「丸岡陶苑」を創業したのは明治25年(1892年)のこと。以来、四代にわたって和陶器一筋に店を続けてきました。

平成20年(2008年)に107歳で新宿区最高齢表彰を受けた二代目店主の祖父弘さんは、100歳を超えても店頭に立ち、真一さんに陶器買い付けに関してアドバイスするなど精力的に働いた方でした。

祖父の時代の主力商品は火鉢で、戦後は暖房用として多くの注文があったといいます。三代目店主となった母叔子さんの時代には、電子レンジで使える食器と、そして四代目真一さんの時代は、食洗機に対応した食器とどう向き合うか。

時代とともに変わりゆく生活様式の中で、ポイントとなる商品も変わってきています。

一方で、代々受け継がれ、変わることなく大切にしていることは、プロの料理、家庭料理の別なく、美味しい料理を提供するときに、主役である料理の邪魔をせず、料理を引き立てるのが食器の役割ということ。

使いやすく控えめな、それでいて美しい器を提供することが、130年を経ても変わらない「丸岡陶苑」のポリシーなのです。

 

神楽坂のお客様に支えられ、商売を続けられる有り難さ

二代目が半世紀以上前に買付けた置物

コロナ禍以前には多くの外国人観光客が神楽坂を訪れ、「丸岡陶苑」でも高額な陶器が売れるなど賑やかな時代もありましたが、ここ数年はさすがに客足が減少しました。

そんな中で店を続けられるのは、一つには家で食事をする機会が増えたことで、例えばうどんやラーメン用の食器、ワイングラスといった、それまで持っていなかった食器を購入する人が増えるなど、売れる商品に変化があったこと。

古くからのお客様に加えて、近隣の若い方々に訪れていただけるようになったことが要因です。

あらためて地元のお客様に支えられていることをありがたく感じると真一さん。

先代それぞれの時代の苦労はあったと思いますが、その度に、目が利く神楽坂のお客様に助けられたと思います。本当に感謝しかありませんと話していました。

絵柄の楽しい和食器の良さも知ってほしい

三代目が仕入れた絵柄の美しい水差し

和食器といえば美術品・伝統工芸品から日用食器まで、染付や多彩色の絵柄の器が一般的でした。

しかし近年は輸入食器が増えたこともあって、飲食店や家庭でもモノトーンのものやシンプルなデザインの食器が多くなっています。

そうした中で真一さんは、最近の仕入れでは、あえて絵柄の有るものを増やしているといいます。今風の食器だけでなく、模様や絵柄を楽しめる昔ながらの和食器の良さも知ってほしいというのがその理由です。

これも新しい試みと言えますが、先代からの「カタログでは仕入れるな、作家や窯元で判断することなく、必ず実際に手で持ち、指を通した感覚や手持ち感など肌で感じることを大切に」という教えを守りながら、食器はあくまで料理の脇役というポリシーのもと、普段の生活の中でちょっと贅沢な食卓のお手伝いができるような器を仕入れているのです。

古いものと新しいものが調和して変化・発展する街

神楽坂という街のすごさは、歴史や伝統を守りつつ、新しい店舗も受け入れ、両者が調和して変化・発展している街というところにあります、と真一さん。

女性がひとりでも歩ける安全、安心感があるのも神楽坂ならでは。

本物を知るこだわりのある店舗が多いので、是非足を運んで感じてもらえれば嬉しといいます。

これからも、祖父や母の時代の商売とは違った、個人店の強みや面白さを生かした商いを続けるために、変化を恐れず、新しいことに挑戦していきたいという真一さんの言葉がとても印象的でした。

「神楽坂想い」のバトンはさらに繫がっていきます。次回もどうぞお楽しみに。

丸岡陶苑

〒162-0825
東京都新宿区神楽坂3-6
TEL: 03-3269-0675
URL:http://www5b.biglobe.ne.jp/~maru-oka/

記事一覧

同じテーマの記事

コメント[ コメント記入欄を表示 ]

コメントする