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KAGURAZAKA・想い

第9回 神楽坂店主リレー取材:神楽坂想い

色鮮やかな花たちが紡ぐ       神楽坂のまちと歴史

田口屋生花店

榎本 雅之さん

神楽坂想いも今回で9回目。店主リレーのバトンを受け取って下さったのは「田口屋生花店」の榎本雅之さん。

街を華やかに飾る生花をとりあつかって半世紀。お花屋さん。というだけで気持ちが華やぐのは女性だけではないはずです。誰もが気持ち華やぐ店内でお話しを伺うことができました。

神楽坂に根づくお花屋さんと地域のつながり

店内に溢れる生花。
心地よい花々の香りが広がる

店内へ入れば、お花屋さんならではのひんやりとした空気と植物の香りに包まれます。懐かしい雰囲気を残したままの店構えのお花屋さんは色が溢れていても、なぜか地味な印象が否めません。

年季のある作業台で手早くまとめられてゆく小さな花束も、派手ではなく可憐で白い「小菊」がメインの誂えです。

ふと思いついて「仏花ですか?」と聞けば「横寺町もあってこの辺りはお寺さんが多いので、仏花のお届けもしているんです」と答えがあり、地味な印象の答えがわかったような気がします。

地味ではなくて、それが「神楽坂」に根づく花屋さんなのです。マスコミに作り上げられた「おしゃれで古今混在の若者の街」というイメージではなく、神社仏閣のある暮らし。それが神楽坂の本来です。「お寺さんは毎日のことですが、この辺りは元あった会社が大きくなったり、学校が増えたりしたので、入学や卒業の時期、人事異動の季節は目がまわる忙しさです」と榎本さんはおっしゃいます。

時代とともにチェーン店が増えてきている中、神楽坂商店街の存続にも力を入れているそう。

「人前に出たり、声を上げたりするのは得意じゃないんですけど、なり手もいないので町内会の理事もやったりして、いろいろと昔と違って大変です」控えめにお話しする榎本さんの頑張りがチラリと覗いた瞬間でした。

文化人の感性を育ててきた神楽坂の生花

料亭や生け花教室に届けられる生花。
人々の暮らしを豊かにしてくれる

コロナ禍以前は、生け花のお稽古で使用する花のお届けもしていたそう。流派もさまざまで多くの生け花教室があった神楽坂地域。お稽古で使用する生花を通して文化人の感性を育ててきたのでしょう。

実は本ブログ運営元の弊社、東京平版にも以前華道部があり、お稽古で使用する生花をご用意していただいていました。意外な繋がりに嬉しく思います。


コロナウイルスでのイベントや展覧会の中止で、生花店や花業界の影響は計り知れませんが、これからも“街のお花屋さん”として神楽坂に訪れる人々の心を癒していってほしいと願っています。生き物としての花が持つ魅力。見た目や香りで気持ちを落ち着かせたり、華やかな気分になれたり。大切な人に気持ちを伝えたり、特別な想いを込められたり。田口屋生花店の花たちも一輪一輪、そんな想いを持ちながら日々元気に神楽坂に咲いています。

榎本さんのバトンはどの店主が受け取って下さるでしょう。次回もどうぞお楽しみに。

田口屋生花店

〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-1
電話:03-3269-1408
FAX:03-3267-6564
URL:http://syoutengai.info/kagurazaka/120/

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