東京平版株式会社
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好奇心

東京の梅雨入りも間近のようですね。
皆さんいかがお過ごしですか。
デザイナーの藤井です。

皆さんは昆虫食というものをご存知ですか。
ほとんどの方が興味ないと思いますが、
栄養価が高く、生産コストが安い上に、加工がしやすいという事で、
人口増加に伴う食糧危機を回避する手段としても注目されています。

日本でも昔はハチやカイコなどを食ベていたという記録があり、
現在でも一部地域でイナゴの佃煮が生産、販売しています。

とはいえ、そのままの形が残っている限りは、
ほとんどの方が食べたいとは思わないと思います。
形が残っていなくても、無理な人は少なくないでしょう。

僕も正直なところ、昆虫を食べてみたいと思ったことは一度もなかったのですが、
先日、日本橋馬喰町のとあるお店に行ってきました。

 

ANTCICADA
(アントシカダ)

 

アントシダカは昆虫食の魅力を伝える活動をしています。
普段は「地球を味わうコース料理」が楽しめる予約制のレストランとして営業しているのですが、
日曜日限定で「コオロギラーメン」を出しています。

「ラーメン凪」と共同開発したそのラーメンは、
赤坂サカスや慶應大学食堂、日比谷音楽祭、FOODEX JAPANなど全国各地のイベントで完売し、
長澤まさみさんや指原莉乃さん、ラーメン王石神さんも認めたお味だそうです。

お店はマンションの1階にあり、
少し意味深なロゴがある以外は飲食店がある気配のない場所でした。
中に入ると清潔なオープンキッチンに、若い店員さんがお客さんにテキパキと説明していました。
現代的でシンプルなカウンターバーのような雰囲気です。

注文したラーメンも一見普通のラーメンでした。
トッピングにちょこんっと素揚げのコオロギがいる以外は…。

味は、悪くないどころか美味しいラーメンでした。
出汁にも調味料にも麺や油にまでコオロギが使われているらしいのですが、
トッピングの素揚げ以外は全くわかりません。

僕が一番感心したのは、お店のスタッフでした。
彼らは「食糧問題を解決する為」などと行った肩肘張った所が全くなく、
むしろ恐る恐る食べるお客さんとのコミュニケーションを楽しんでいるようで、
食の中に、好奇心と遊び心と学びを合わせ持った
新しいエンターテイメントを提供していました。

そもそも食糧危機だとか、持続可能な社会作りなどに興味を持ったのは、
僕の父が定期購読していた科学雑誌の影響でした。
父は無口な人なので、社会問題を息子に論じたりはしなかったのですが、
子供心に未来に関心を持って読んでいたのを覚えています。

父のためにコオロギラーメンとコオロギビールを買って帰りました。
後日電話した所、とても喜んでいました。

変わった親子ですよね(笑)