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紙の種類でこんなにも色域が変わります (2)


それでは、用紙の種類による色域の差を見てみたいと思います。

まずは、ガモットマッピングです。

これは、色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローと、これら2色を掛け合わせたレッド、グリーン、ブルーの濃度(網点)による色の動きを図表化したものです。

基準となるコート紙と比較して、A1ダルアート紙のサテン金藤では同等、A2マットであるユーライト、ラフ調塗工紙のb7トラネクストは若干の色域圧縮は見られるものの、ほぼ同様に再現されているで事に対して、微塗工紙のHSハミングとOKブライトラフ、非塗工紙である上質紙とアドニスラフでは全体の色域が60~70%程度まで圧縮されている事が分かります。さらに非塗紙では微塗紙より2次色での色域圧縮が顕著に見られます。
これらの現象は用紙の塗工剤の量と平滑度の差によって、インキのにじみが生まれてくる事によるものです。

次に、これらの色域圧縮がどの濃度域で生じてくるのかを調べてみます。ここではコート紙と上質紙で濃度値のトーンリプロダクションを比較して見てみます。

0~60%程度まではコート紙、上質紙ともほぼ同じ様な動きをしていますが、それ以降のシャドー側での動きに大きな変化が現れています。

コート紙ではしっかりと濃度値が上がってくるのに対し、上質紙では60%までと同じ傾斜でしか濃度が上がって来ていません。先のガモットマッピングでみた、上質紙で色域の圧縮は60%以上のシャドー側の領域である事が解りました。
上質紙で印刷した時の階調不足、シャドーのつぶれ、色のにごりなどは、これらが原因となっているのです。
上質紙などでより美しい印刷物を作るためには、この圧縮された濃度値に階調の幅をもたせるための調子補正が必要となってきます。

下記の写真は同じ画像をコート紙と上質紙で印刷したものと、この検証データのもと調子補正した画像を上質紙で印刷したもののサンプルです。

 
              コート紙

 
        上質紙(色調補正前)

上質紙(色調補正後)

まず、用紙の違いでで、こんなにも色が違って出てくる事に驚かれた方も多いと思います。そして、調子補正をした画像はやや浅い感じにはなるものの、かなり色相と階調がコートで刷ったものに近づいている事がはっきりとお分かりになると思います。

クオリティーを求める印刷物には、紙のもつ風合いと印刷での調子再現力の両方が求められています。美しい印刷物を作るためには、それぞれの紙の特性を理解し、それにあった調子の補正をする事が必要不可欠となっています。

東京平版ではより美しい印刷物を作るために、オペレータの経験だけに頼るのではなく、この様なデータを検証しながら、さらなる技術の向上に日々励んでおります。

美しい印刷物を作る事、これが私たちの仕事です。

お客様が出来上がったモノをみて、一番はじめにひと言『キレイ』と言って下さったときの喜びを、私たちは忘れる事が出来ません。(佐々木)

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