東京平版のかみの実験室

第十回 OKミューズガリバーマットCoCハイホワイト

 第10回は王子エフテックスの「OKミューズガリバーマットCoCハイホワイト」を選びました。
 この製品は、OKミューズガリバーシリーズの新製品で『OKミューズガリバーしろもの』の後継種であり、高級印刷用紙として2014年から販売されている銘柄です。なおこの製品は森林認証を取得しています。

用 途

 ラフグロス系統(柔らかい手触りですが、印刷された部分はややインクの艶感のある用紙の種類。「ラフグロス」の用語は竹尾の登録商標)に分類される微塗工紙であり、やわらかな感触と白色度の高さと落ち着いた発色の特徴を持つ為ワンランク上の高級感を出すことができます。
 上品な高級感を訴求したいパンフレットの表紙や書籍のカバー、柔らかな手触りを楽しむカレンダーなどに使用されています。

所 感

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 この紙を手にした時「手触りがやさしく、ずいぶんと白い紙だな」との印象を持ちました。真っ先に浮かんだのが、表紙に金文字を乗せた外国産高級車のパンフレットのイメージでした。紙の風合いからかなり沈み込むと想像していましたが印刷してみると、やはり全体的に沈んだ印象ですが、グレーのバランスは良いようです。華やかな発色を求められる印刷物には適さないけれど,しっとりした感じの印刷物には向いている印象を持ちました。

用紙実験考察

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 OKミューズガリバーはラフグロス系のため、全体にやや沈んだ発色となりました。コート紙と比べると70%あたりからベタまでの濃度が上がらず、ベタ濃度の、コート紙との比較では概ね70%程度の濃度しか無く再現領域が狭くコントラストが弱い傾向がみられました。
 トラッピング値もコートと比べるとグリーンで+5%。ブルーで-3%の差に対しレッドは14%のマイナスで赤系統の色が沈んだ感じになりました。

修正方法

 コート紙と比較して再現濃度域が狭くなっているので、トーンカーブを使用し、濃度域を広げる処理を行いました。具体的には、ハイライト側の濃度を減らして、シャドー側の濃度を増やしました。それによりコントラストが出ました。また、赤系統のトラッピング値がコート紙と比較して14%少ないので、マゼンタを減らして、イエローを増やす処理を行い赤系統の濁りを減らしました。具体的には、「赤系統色を選択」し、マゼンタを減らして、イエローをふやしました。それにより赤の発色が鮮やかになりました。

マシュマロCOC“調子修正後”色校正

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まとめ

 「OK ミューズガリバーマットCoCハイホワイト」この紙は目にやさしい白さが際立っています。 コート紙と並べてもコート紙のほうがくすんで見える程です。また手触りが柔らかく、しっとりとしています。修正後はコントラストが出るようになり、赤系統の色のくすみが抑えられました。きらびやかな華やかさはありませんが、落ち着いた上品な発色はこの紙を選択する上での大きな要素であると思います。また実際に印刷してもグレーバランスが良く比較的刷り易い紙です。
 価格的には決して安くはありませんが、上品な高級さをアピールするには好適な用紙であると思います。

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