東京平版株式会社
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絵本 『かないくん』 を読んで

今日、2月3日は節分です。立春の前日にあたり、新年の邪気を払う儀式として豆まきが行われます。今夜は家で豆まきをし、豆をまいたあとは年齢の数だけ豆を食べ、家族の無病息災を祈りたいと思います。

今回のブログは、絵本『かないくん』についての感想を書きたいと思います。

帯には、谷川俊太郎が、一夜で綴り、松本大洋が、二年かけて描いた。と記されています。

人は生まれてから、様々な人たちに出会い、様々な体験をし、様々な事物に遭遇します。

この絵本のように、何気ない日常の中で突然沸き起こる出来事。毎日顔を合わせていた人がある日突然いなくなることなど。

この絵本を最初にめくると、トレぺに教室の中の子供たちが描かれています。一つだけ誰も座っていない机が、かないくんの席なのかと思います。

紙の本ならではのめくるという楽しみがあります。

このトレぺをめくると、机といすだけの絵になり一瞬にして教室のにぎやかさが消えてしまうようです。

この絵本は、60年以上前の思い出を絵本作家のおじいちゃんが病床の中で描いたお話です。

おじいちゃんの独り言に「死を重々しく考えたくない、かと言って軽々しく考えたくもない」という言葉に、人が生まれる時からすでに決まっている死という事への考えが、言い表されているように感じます。

今回、なぜこの絵本を読みたくなったのかは、フェイスブックで誰かが紹介していたからです。

作者の谷川俊太郎氏も昔から好きな詩人で、「生きる」という詩に感動した覚えがありました。

絵を描いている松本大洋氏も、昔スピリッツという雑誌を読んでいた時になじみのあるマンガ家さんでした。

この二人で作った絵本とは、どういうものになるのかと興味を持ち今回読んでみました。

また、ブックデザインを担当している祖父江慎氏もデザイン関係の本でよく知っていましたので、装丁に関しても期待感を抱きました。

想像通り、『かないくん』という絵本のために考えつくされた装丁になっていました。

めくる楽しさ、本を閉じたときの余韻など、一つ一つの仕草が記憶としてとどまる様な思いがします。この感覚は、電子書籍にはない感覚だと思います。

始まりがあれば、終わりがある。でも、その終わりがもしかすると始まりなのかもしれません。

わからない事がわかるという事は、とても大事なことのように思えます。

この絵本を読んでいろいろな事を想い出しました。

シンプルな文章と絵によって、いろいろな事を考える時間も、もらいました。

作り手の、いろいろな思いがつまった絵本です。

この絵本を読んで、感じた事は、

絵本は、誰かに読み聞かせてあげるのが一番いい読み方のように思います。

みなさんも誰かに読み聞かせてみてはいかがですか。(小林)