東京平版株式会社
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紙の種類でこんなにも色域が変わります (1)

みなさん、印刷用紙にはそれぞれ固有の名前があるってご存知ですか?
私はこの会社の入るまで紙に名前があるなんて事、全く知りませんでした。
そして、びっくりしたのがその数の多さ。
数える気にもなりませんが、おそらく1,000種類以上はあるのではないかと思います。

 

大雑把となりますが、印刷用紙はまず塗工紙、微塗工紙、非塗工紙に大別できます。
インキの発色を良くするために紙の表面に薬剤を塗ってある紙、少しだけ塗ってある紙、全く塗っていない紙の3種類です。
そして、それぞれには表面がツヤツヤとした平滑度が高いもの(コート系)と逆にザラザラやしっとりとした平滑度が低いもの(マット系、ラフ調)が存在しています。
実はこれらの組み合わせによって、印刷での色調表現は大きく左右されてしまいます。

 

コート紙のような平滑度があり、しっかりと塗工された紙では、鮮やかで豊かな階調表現となります。
逆に平滑度が低くなったり、薬剤の塗工量が少なくなるにつれて、印刷時の色調再現性は低下していきます。一般的には手触りと風合いの良い紙ほど、印刷での調子表現は難しくなってくると言えるでしょう。
私たちは、この手の風合いが良く、ニュアンスをもった紙での仕事の依頼を多く頂いております。
お客様の要望される紙で『いかに良い印刷物を作り出せるか』こそが、私たちの役割です。

 

そのためには、その紙が一体どんな種類の紙で印刷した時にはどのような色調表現となるのかを知っていなければなりません。
それを把握するために各カテゴリー毎に紙を選択し、色域確認のテストを行なっています。
従来は見た目と経験のみに頼っておりましたが、最近ではそれにプラスして数値を測定し理解する事で、その紙の特徴を把握し調子補正に役立てようとしています。
今回は用紙の種類によってどのような差が出てくるのかを見るために、平台校正(4色機)でテストを行いました。

テストサンプル

選択した紙は以下の8種類です。
 ・サテン金藤
 ・コート
 ・ユーライト
 ・b7トラネクスト
 ・HSハミング
 ・OKブライト(ラフ)
 ・上質
 ・アドニスラフ80

テストサンプル
解析の方法としては、まず1次色CMYKと2次色RGBのステップチャートを測色し、網点・ドットゲイン・濃度値でのトーンリプロダクションを作成します。
さらに1次色のコントラスト値、2次色のトラッピング値、CMYKとRGBの測彩値をガモットマッピングにして見てみます。そこで、標準印刷となるコート紙と比較し、色域がどの程度圧縮されているのか、どのような特徴があるのかを見極め色調補正の際の判断基準としていく訳です。

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こうして、数値で見てみると非常に面白いことが分かってきます。
今まで感覚的には分かっていた事が、数字に置き換わる事でしっかりと再確認でき、また改めて見えてくるものが多くあります。
やはり、印刷も物理なんですね。しっかりと数字に置き換え理論的に把握する事の大切さをあらためて感じました。
解析結果については、また後日お伝えしたいと思います。(佐々木)

 

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