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感銘を受けた言葉「スティーブ・ジョブズ 〜伝説のスピーチ〜」1/3

こんにちは。デザイナーの藤井です。
今回は、僕自身デザイナーを志した頃からずっとお世話になっているMacintoshを創った人、
スティーブ・ジョブズ氏の言葉です。
YouTubeにもアップされていて、伝説のスピーチと評されている
米スタンフォード大学卒業式での氏のスピーチを文章におこしてみました。
少し長いので、3回に分けてご紹介したいと思います。

 


Jobs

世界でも有数の大学の卒業式に同席でき、とても光栄に思います。
実は私は大学を出ていないので、これが最も卒業に近い体験となります。
本日は私の人生から3つの話をします。
それだけです。たった3つの話です。

最初の話は「点をつなげる」という話です。
私はReed大学を半年で退学したのですが、その後18ヵ月は同じく受講していました。
では、なぜ辞めたのか?
それは生まれる前に遡ります。

 

私の生みの母は未婚の大学生で、私を養子に出すことを決めていました。
彼女は私を大学出の方にと強く思っており、
弁護士夫婦へ引き取られることが決まってたのです。
もし私の誕生の直前になって、彼らが女の子が欲しいと決めることがなかったのなら…。
そして夜中にリスト待ちしていた私の親の電話が鳴ったのです。

「予定外の子がいますが、欲しいですか?」

両親は「もちろん」と答えました。
後ほど判ったのですが、私の母親は大学を出ておらず、
父親は高校も出ていませんでした。
生みの母親はサインを拒みましたが、大学に入れると約束することで折れました。

 

こうして私の人生はスタートしました。
17年後、大学に行くことになりました。
が、何も考えず高い大学を選んだので両親の蓄えは大学の授業料に費やされました。
半年たつと、私は大学に価値を見出せなくなりました。
自分が何をしたいのかも、大学がその役に立つのかも分からなかった。
しかも私は両親の蓄えの全てを使っている。
だから退学を決めたんです。全てがうまくいくと信じることにして…。

 

その時はとても怖かった。でも振り返ってみると最良の決断でした。
退学した瞬間から興味のない科目の必要がなくなり、面白そうな科目だけを受け始めました。
だけど、全てロマンチックには行きませんでした。
寮がないので友達の部屋の床で寝たり、コーラ瓶を換金して食べ物を買いました。
毎週日曜の夜は7マイル(約11.2km)歩いた寺院でご馳走にありついたりしました。あれは良かった。
そして好奇心と直感に従って得た多くのものが、
後になって貴重な価値のあるものになったのです。
一例を紹介しましょう。

 

当時Reed大学は国内で最高のカリグラフィ(装飾文字)教育を行っていました。

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キャンパス全てのポスターやラベルまで美しいカリグラフィがなされてました。
私は退学して通常のクラスの必要もなく、
技法を学ぶためカリグラフィ・クラスに出ることにしました。
セリフとサンセリフ書体、字間の調整、素晴らしいタイポグラフィなどを学びました。
それは美しく、歴史があり、芸術的に巧妙で、科学では捉らえられないものでした。
どれも人生に何ら役に立ちそうにないものばかりです。
しかし十年後に最初のMacintoshをデザインするときに全てが蘇ってきました。
そしてその全てをMacに組み込むことが出来たんです。
それが美しいタイポグラフィを持った最初のコンピューターだったのです。

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あのクラスに出なかったらMacに複数のフォントやプロポーショナル・フォントは入らなかった。
そしてWindowsはMacの単なるコピーだからそれらの機能を持つパソコンはなかったことになります。
退学していなければ、カリグラフィ・クラスに出なかっただろうし、
パソコンは美しいタイポグラフィを持たなかったでしょう。

 

もちろん、大学時代に先を見て「点を繋げる」ということは不可能でした。
しかし10年後に振り返ってみると、実にはっきりとしているのです。
繰り返します。先に見て「点を繋げる」ことはできない。
出来るのは、過去を振り返って「点を繋げる」ことだけなんです。
だから将来その点が繋がることを信じてなくてはならない。
根性、運命、人生、カルマ、何でも良いから信じること。
点が繋がって道となると信じることで、心に確信が持てるんです。
たとえ人と違う道を歩むことになっても。
信じることで全てのことは、間違いなく変わるのです。


R.I.P Steve Jobs

 

 

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