東京平版株式会社
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アントニオ・ロペス展

東京では梅雨入り宣言がありましたが、まだ梅雨らしさを感じさせない天候が続いています。お客様のところにお伺いする身にとっては、雨は少し苦手だなと思っている営業部小林です。

本日は、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「アントニオ・ロペス展」を見に行って、感じたことを書いてみます。

アントニオ・ロペスは、現代スペイン美術を代表するリアリズム芸術家です。

ただ、日本ではあまり知られていませんでした。私が知るきっかけは、テレビでリアリズム絵画の鬼才磯江毅という人の特集があり、かねてから写実絵画に興味があった為にアントニオ・ロペスの事も気になり、今回展覧会があることを知り見に行きました。

ロペスの作品を観ると、写真のように描く写実とは違い作家自身の目を通して描かれた真実を写し取った絵のように感じます。

鉛筆で描かれた〈マリアの肖像〉などは、コートの緻密さが物凄く、ロペスのリアリズム作家としての技量が伝わってきます。反対に顔に関してはシンプルに描かれていますが、その表情からは何かドラマ(そこから何か始まるような予感を与えてくれるもの)を感じさせます。


私にとって良い絵や写真は、必ずドラマを感じさせてくれるものです。

ロペスの絵には、確かにドラマを感じました。

誰もいないグラン・ビアの街角にも人の気配を感じ、これから様々なドラマが始まる予感を与えてくれます。

〈グラン・ビア〉という作品を描くために、アントニオ・ロペスは夏の朝、毎日6時30分ころから20分間現地で7年間イーゼルを出して絵に向かったそうです。
ですから、町並みは少しずつ変わっていくため実際とは異なって描かれているようですが、それがロペスの芸術を単に「写実」とは違い、実際の風景に加えて積み重ねられた時間の層を描くことで、画面に更なる現実味を生み出しロペス自身の真実の目で見た作品になっているように思えます。

東京平版営業部には、今期の目標として『ものづくりの心を養う』という言葉を掲げてあります。
印刷会社の営業として、クリエイターの方々が制作したものをクリエイターの方々が望む通りにあるいは時としてそれ以上の印刷物にするために、この『ものづくりの心を養う』を目標にしています。
一つの印刷物を作るためには、いろいろな人たちの想いとその制作にかけた時間が詰まっています。このことを常に考えて、お客様が喜ぶものを作るお手伝いをしていきたいと考えます。

この展覧会は、6月16日まで開催されています。ぜひ本物の絵をご覧になってみてください。
絵に吸い込まれるような感じがします。 (小林)