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『ムルロ工房』に想いをよせて

19世紀末から20世紀中盤にかけて、ピカソ、シャガール、ミロ、マティスなど名だたる芸術家たちが、木版画やリトグラフなどの技法を用いて、挿絵本やポスターなどの芸術的な印刷物をこぞって作っていた時代があったそうです。

そんな作品を集めた企画展がこの春2つの美術館で開催されました。
(残念ながら会期は終了してしまいました)

一つは箱根のポーラ美術館で開催された
『紙片の宇宙 シャガール、マティス、ミロ、ダリの挿絵本』展

  

館内に入った途端、いきなり鳥肌が立ちました。
アプローチに飾られた一冊の本。箔押しやエンボス加工された革を表紙に使った
それはそれは美しい、なんとも豪華なものでした。

この企画展で展示されている芸術家による挿絵本は、19世紀後半から20世紀中盤のフランスで盛んに作られた出版物で、芸術家たちが古典文学や同時代の詩人などの作品に対し、版画による技法で挿絵が印刷された書物で、芸術作品の普及を目指して作られた版画による出版物だそうです。
こんな素敵な本を手にすることができるとは、なんて贅沢な時代だったんでしょうか。

   

 左:ジョアン・ミロ『あらゆる試みに』   右:アンリ・マティス『詩集』『JAZZ』

二つ目は、DIC川村記念美術館で開催された『ムルロ工房と20世紀の巨匠たち パリが愛したリトグラフ』展です。
当時のフランスには『ムルロ工房』というリトグラフを専門に印刷をしていた有名な印刷所がありました。ピカソ、シャガール、ミロなど時代を代表する芸術家の作品をポスターなどを中心に作り出していたそうです。
今回、その作品たちを見て、その完成度の高さにびっくりしました。
リトグラフが、こんな豊かな色彩表現が出来るなんて初めて知りました。
今の印刷物にはない、リトグラフならではの色感や味わいが、ものすごく良いです。
当時のパリの街中は、こんな素敵なポスターに彩られていたのでしょうか?
こんなものが印刷物として存在していたのですから本当に驚きです。

  

『ムルロ工房』で作られたリトグラフのポスター

印刷という仕事に携わって20年ほど経ちますが、
最近、印刷物がだんだんとつまらない物になりかけている気がします。

忘れかけていましたが、印刷物にはまだまだ素晴らしい価値が存在します。

見た人、手にした人を幸せにさせる、モノとしての価値。

今回この2つ企画展を見たことで、それをあらためて再認識させてもらいました。
もともと東京平版は書物の画稿を作る仕事からスタートしました。

より美しい印刷物を作るために、これからも技術と感性を高め、モノ作りと真剣に向かい合いあえる製版・印刷会社であり続けたいと思います。(佐々木)

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