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第六回 OKアドニスラフW
最近、アパレルのタブロイドやフリーペーパーなどで使用されているアドニスラフWに、どのような特徴があるのかを知るために、今回の研究材料として選びました。
アドニスラフWは、王子製紙より製造・販売されている嵩高中質紙です。アドニスラフ80(白色度80%)をベースに、より白さを増した商品となります。他にも、アドニスラフ80、75、70、Pink、Blueの5種類ある非塗工紙です。同じ嵩高中質紙としては、日本製紙フロンティタフWがあります。
用 途
嵩高紙の特徴として、厚みの割には軽く、手にするとやさしい風合いがあります。また、光を吸収するため目に優しく、書籍やコミック本文の1色ページに多く使用されています。
所 感
アドニスラフWはその少しざらっとした手触り感と、見た目の印象から、実験前の推測ではコントラストが弱く、シャドウ部が潰れると考えていました。実験後の結果は想像していた通りになりましたが、全体的には色のバランスが良い用紙である事が分かりました。
用紙実験/考察
ガモットマッピングのグラフから色バランスが良いことが分かります。トーンリプロダクションの濃度値をみると、コート紙に比べて70%付近からベタまでの濃度域が狭く、コントラストが弱いことになります。トラッピング値に関しては、コート紙とアドニスラフWの差が、レッド系では25%ほど低い数値になっています。これはコート紙に比べて、マゼンタインクの上に乗るイエローインクの着きが不足しているということになります。
修正方法
初めにジャパンカラー基準値のコート紙に色調を近づけるために、トーンカーブを使いコントラストをつけました。
次にトラッピング率の低さを調整するために、レッド系に対してイエローを上げることで濃度を高めて彩度を上げました。さらに濁りを抑えるためにシアンを下げました。
上記の修正作業の結果、彩度と明度が上がり、調子にメリハリが出てコート紙に近い色調の再現ができました。
OKアドニスラフW“調子修正後”色校正
まとめ
実験前は手触りと見た目の印象から、印刷用紙として不向きと考えていましたが、実際には色調再現のバランスが良い用紙です。特にシャドウ部の修正を行うことで、ジャパンカラー基準値で印刷したコート紙に近い色調まで再現することが可能になりました。
アドニスラフWは、色調の再現性や、やさしさを感じる風合い、本の開き具合の良さなどの特徴を持つすばらしい用紙です。デザイナーの方が、アパレルのタブロイドやフリーペーパーなどで、この用紙を選ぶ傾向にあることも理解できます。
※ グラフィック社の「デザインのひきだし27現代・印刷美術大全」に当社の作品を掲載させていただきました。
アドニスラフWを使用し色調修正を施した印刷サンプルと、カレイドインキを使いフェアドットとAMスクリーンを組み合わせた広色域マルチスクリーンの印刷サンプルを載せてあります。
是非ご覧ください。